家庭用 燃料電池 2

主なメーカーの動向

●パナソニック(松下ホームアプライアンス)

松下ホームアプライアンスは、パナソニックの家庭電化・冷熱空調における事業領域を総括する企業として、2003年に設立。2005年から東京ガスと共同で新エネルギー財団が実施する「定置用燃料電池大規模実証事業」に参画、全国285機を設置した実績がある。2008年6月から量産を始めた新型機は発電効率、熱回収効率共に世界最高レベルを目標としており、耐用年数は10年以上という。

●トヨタ自動車

燃料電池の開発はトヨタ、システム開発はアイシン精機が担当し、それぞれが培ってきた技術とノウハウを最大限に活かして製品づくりを進めてきた。2006年から「定置用燃料電池大規模実証事業」に東邦ガスに提供する形で参画。また、「愛知県新エネルギー関連産業振興計画」に基づいて愛知県公館にも設置し、実証実験を重ねてきた。使用された製品では、発電と熱回収の総合効率90%という高い数値を上げている。

●荏原バラード

世界の燃料電池(PEFC)開発をリードしてきたカナダのバラード社と荏原製作所が出資し、1998年に設立。東京ガスなどとの共同で開発した燃料電池システムは、2005年から参画した「定置用燃料電池大規模実証事業」において、これまで556台を設置。2008年度の実証事業用新型機では、3年間蓄積したデータをもとにシステムを改良、高いエネルギー効率を実現するとともに、CO2排出量などが大幅に削減できるという。

●東芝燃料電池システム

東芝グループでは、1978年からリン酸形燃料電池の開発を手がけてきた。その技術や家電機器の開発技術をベースに開発した家庭用燃料電池の実験導入を2000年から開始し、2001年に同社を設立。2005年から「定置用燃料電池大規模実証事業」に石油会社、ガス会社とパートナーを組んで参画し、これまで545台を提供、2008年度はさらに203台が予定されている。寒冷地向けの灯油用の開発にも取り組んでいる。

●ENEOSセルテック

新日本石油と三洋電機が2008年4月に合弁で設立。新日本石油は三洋電機などからシステムの提供を受けて「定置用燃料電池大規模実証事業」に参画、これまで749台もの設置実績がある。量産化を前に新会社を設立、さらに新工場立ち上げなど、多額の設備投資を行い、メーカーとして参入する体制を整えている。豊富な実績データをもとに、量産化にあたってはさらに性能などを改善した新型機の登場が期待される。

主な製品仕様

社名 水素源 定格発電出力 発電効率 排熱回収効率
パナソニック 都市ガス 1kW 38% 55%
トヨタ自動車 都市ガス 1kW 38% 52%
荏原バラード 都市ガス 1kW 37% 53%
東芝燃料電池
システム
LPガス 700W 36%以上(目標) 50%以上(目標)
  都市ガス 700W 34%以上(目標) 50%以上(目標)
ENEOS
セルテック
LPガス 750W 36% 44%
  都市ガス 750W 35%以上 -(総合効率80%以上