燃料電池の種類と用途

幅広い用途に対応する4つのタイプ

燃料電池は水素と酸素の化学反応によって発電しますが、電解質の違いによって現在、主に4つのタイプが開発されています。電解質とは、電気を通さない水などに溶かして、電気を通すようにする物質のこと。下表にある4種類の電解質は、発電が始まる温度(=作動温度)が異なり、この温度差によってふさわしい用途に分かれます。作動温度が低いものは家庭用や自動車、モバイル機器など、すぐに使いたいもの、作動温度が高いものは大きな工場や発電所など、長時間運転する施設に向いています。このサイトでご紹介している燃料電池は、特別に説明を加えている場合を除き、固体高分子形(PEFC)を指しています。

種類 固体高分子形
(PEFC)
リン酸形
(PAFC)
溶融炭酸塩形
(MCFC)
固体酸化物形
(SOFC)
電解質 固体高分子膜 リン酸 容酸炭酸塩 安定化 ジルコニア
作動温度 常温~100℃ 650~700℃ 150~200℃ 700~1000℃
発電効率 40~60% 40~45% 40~60% 50~60%
発電規模 50kW以下 50~200kW 250kW~数10万kW 100kW~数10万kW
開発状況 実証/実用化段階 実用化段階 実証/実用化段階 研究/実証段階
用途 家庭・小型店舗、
自動車、
モバイル機器など
中型規模の
オフィスビルなど
工場や
大規模電力事業用
小規模から
大規模まで
幅広い発電用

*このほか、スペースシャトルや潜水艦に使用されるアルカリ形燃料電池やメタノールを燃料とするダイレクトメタノール形燃料電池などもあります。
*発電効率や作動温度などの数値は各メーカーや団体によって異なりますので、あくまで目安とお考えください。